おわりに

これまでパレスチナ問題に関わる諸事項を概ね年代順に見てきた。余りにも複雑すぎて焦点がどこにあるのか纏めきれない。当初からパレスチナ問題を分かり易く説明したり解説したりしようとしたものでないので、このような年表的記述方式では致し方ない。しかし、パレスチナ国家の樹立はあるのか。二国家共存は可能かが問われていることは間違いないと理解できた。何百万人ものパレスチナ難民の苦しい生活状況、とりわけ子供たちの現状を思うと心が痛む。和平への期待は大きいが、最近のトランプ大統領の「エルサレム首都認定問題」や「エルサレムへの大使館移転問題」「国連パレスチナ難民救済事業機関への拠出金凍結問題」などを受け、中東和平の行方はますます不透明になってきたと危惧する。

和平の行方について多くの意見がある。

一、パレスチナ国家は樹立され、二国家共存は達成される。

一、パレスチナ国家の樹立は望ましいが、パレスチナの現在の状況から悲観的だ。

一、パレスチナ国家の樹立はもうない。イスラエルはこれからも占領を続ける。

一、イスラエルの強硬姿勢はより強くなり、対立・抗争は止むことなく続く。

一、パレスチナは次第にイスラエルに吸収され、イスラエルの一国家構想が固まる。

一、一国家でも二国家でも、どちらでもいい。悲惨な対立や闘争はやめ、早く普通の生活さえ戻ればいい。

 

様々な意見がある中、状況は好転せず、残念ながら現状では和平交渉再開の兆しさえ見えない。国際社会は協力して今以上に「パレスチナ問題」に真剣に向き合い、交渉再開に向けて協議を重ねることが必要だ。このまま対立が長引けば状況は悪くなるばかりだ。今までの交渉の失敗を反省し、形だけの握手を急がず、「事前の周到な調整」が必要だ。最近のアメリカ大使館の移転などエルサレムをめぐる問題の大きさに、「中東和平は断たれた」との声も囁かれる。だがアラブ諸国は二〇〇二年に採択された「アラブイニシアチブ」の基本姿勢は維持している。イスラエルパレスチナ双方の当事者を動かせるのは国際社会だ。国連を中心に総力を結集すべきであり、今こそ国際社会は中東和平の問題と改めて真剣に向き合う必要がある。

 

イスラエルパレスチナ」に

「真の和平」は実現するか